宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」を読む

滋賀のヒトは滋賀県愛が強い?
滋賀を舞台に成瀬あかりをいろいろな視点で描いた6つの短編。
正攻法でずれている特異なヒロイン。まっすぐすぎる行動がただただ気持よくて泣けてくる。普通はこんなに迷いなく振る舞えないもんな。尊敬する。
成瀬の人物像もすごいけど「コンビ」を組む島崎みゆきもなかなかのもの。つきあいがいい。それ以外の登場人物もとてもうまく配置されてこの世界を鮮やかに描き出す。
一つ一つ読み進めながらこういう感じねとか思うけど毎回少しずつこちらの予想は外れる。全体の構成の妙。作者の企みにシビれる。
各話どれも五つ星をつけたいところ。
夜中に「膳所から来ました」を読みながらクククと笑いをかみ殺す。こういう種類の幸せは久しくなかったような。
「レッツゴーミシガン」が一番感性にぴったりくる。心の動きを繊細に描きつつもおかしかったり甘酸っぱかったりするのが最高。
文庫版では本編の後に「大津ときめき紀行 ぜぜさんぽ」というエッセイが入る。ひねりが効いていてもうダメ押し。聖地巡礼なんてちょっとバカにしていたけど「膳所に行ってみる?」と、一瞬ゆらりとしたり…。