
ウォーミングアップ的。右手のジョギング。ノンセンス。ノーアイディア。お気楽。
描く途中で上下左右がない絵にしようと意味なく思う。紙を90度、180度回転させたりしながら「作業」は続く…。

ウォーミングアップ的。右手のジョギング。ノンセンス。ノーアイディア。お気楽。
描く途中で上下左右がない絵にしようと意味なく思う。紙を90度、180度回転させたりしながら「作業」は続く…。

たまたま出来た美しい青磁の壺がいろいろな人の手に渡る。
定年退職した会社員に始まって、お花好きの重役夫人やら、おばあさんやら、ドロボーやら。青い壺は神出鬼没な千両役者。どこで出てくるかと興味津々。
どこにでもありそうな話を13つなげてこんなに面白い1冊を作り上げる才能に万歳三唱する。親しみやすい語り口と豊かなバリエーションに退屈する暇がない。
一番長い第九話に力が入る。その終わり近くに出てくる衝撃の一言に打ちのめされる。おかしくて。
有吉佐和子はエンターテインメントの天才だな。
ラストは美について考えさせられてちょっとしんみりする。わが身を振り返りながら締めの一文に深くうなずく。ジャンルは違うけれど腕のいい職人でいるというのはそういうことなんだと。

ミステリは好きだし、タイムスリップに目がないし、唐田えりかから目が離せないし、加藤清史郎もなぜか好きだし。このドラマを見ないという選択肢はない。
坂部琥太郎(加藤清史郎)たちが車で走っていて白い光に巻き込まれて突然タイムスリップする。よくある感じで見ている方は驚かない。当事者たちも意外に驚かない。ふーむ…。
大隈汐梨(唐田えりか)は2026年現在では連続殺人犯として死刑執行されていたが、タイムスリップ先の2019年ではまだ逮捕されていなかった…。真犯人なのかそれとも?
過去をいじりまくって現在がどんどん変わっていく。いいのか。いいのだ。そういう物語。トーンは暗め。
話のテンポはもっと軽やかにしてほしかったけど、人物の怪しさが持ち回りになっててそれなりに楽しめる。まじめな加藤清史郎と謎めいた唐田えりかの勝利。

謎の死を遂げた富小路公子。週刊朝日のインタビューで27人の関係者が生前の思い出を語るという形を取る。1978年週刊朝日連載。メタフィクション? 気が利いてる。
新しい証言が出てくるたびに公子のイメージがくるくる変わる。悪女、聖女、やり手のビジネス・ウーマン、夢見る少女…。初めから最後まで翻弄され続けるのが楽しい。
ある証言者が他の証言者に言及する部分の印象のずれのおかしさもよくできている。
皮肉のきいた壮大なほら話。極上のエンターテインメント。今読んでも全然古びていない。
「まああ」と物静かに話す公子に見入る。心の中で何回も「カッワイー!」と叫んだワタシはバカです、たぶん。でも一生だまされ続けるという幸せもあるし(悪いのに引っかかって人生を棒に振るタイプ)。

白夜書房「クロスワードランド」7月号。
空き地で三角ベースの野球とか、2人でする野球(?) の思い出はある。土管はどうだったっけ?
デザイン事務所に就職してからも机の横で、隣の席のコピーライターと新聞紙丸めたバットとボールで野球もどきをやった思い出があったり…。どんな職場だ。
いつの時代も男の子はみんなバカだというお話。

5組の登場人物たちの物語が並行して描かれる。互いに関係しているようなしていないような、よくわからない進行。期待度MAX。
そして、拳銃事件や殺人計画やカルトや野良犬やバラバラ死体や泥棒など入り乱れてすごい展開になる。どうまとめるんだとわくわくする。
点と点が結び合わされ全体が形を現す後半の快感といったら。幸せすぎて笑ってしまう面白さ。作者の筆の人間的温かさがそれをしっかり支える。
ビートルズの「Here Comes The Sun」も効果的に使われてるし。
なんでこんなに波長が合うのかなーと夢見るように本を閉じる。そのあとその曲をかけて ♪ It's all right の一節に耳を傾けたのは言うまでもない。
それにしても登場人物の黒澤は何て魅力的なんだ…。

ミステリ短編集。おもしろく読ませて最後は思いもよらない形で結末をつける。6つの短編、どれも高いレベルできちっと作ってあって舌をまく。人の心を中心に据えて技を決めるのがすごい。
「万灯」のどぎつさにのけぞり、「柘榴」の怖さに震え上がる。他の作品も甲乙つけがたく。
ただ登場人物のどす黒い感じは苦手かもしれない。なので、すごいすごいと絶賛しながらも大好きとは言えないもどかしさも。

外界と遮断された島。しゃべるカカシは未来がわかる。画家は嘘しか言わない…。
屈折した童話のような雰囲気で話が進む。ミステリなのかそうでないのかわからないまま「殺人」は起こる。どう決着をつけるんだ?
最終場面でいろいろな出来事が次々に収束していく。そのやり方があまりにも詩的なのでびっくりする。
シュールレアリスムを身にまといつつもミステリとしてきちんとしているのが奇跡的に美しい。

やっと見終わる。吉原の話がもうひとつ。歌麿と写楽をどう描くのかという興味でなんとか最後まで見たという感じなんだけど…だけど…。
歌麿の大首絵「歌撰恋之部 物思恋」が好き。これまでに見たあらゆる絵の中で一番好き。その絵の下書きが終盤やっと登場する。ちょっと目がぱっちりしすぎたりするのを蔦屋重三郎がプロデュースして修正して仕上がるのが面白い。蔦重と袂を分っていた歌麿のもとに刷り上がりが届くと歌麿はびりびりに引き裂いてしまう…。えーー?
ものつくりの世界はほんといろいろむずかしい。
ラスト5話はドラマとして絶好調。ミステリ的な展開を絡めて大技をくり出すので楽しくてしかたがない。斎藤十郎兵衛を写楽の正体とせず、アクロバティックなひねりを加えた上でうまくつじつまを合わせている点にも好感を持つ。
脇では松平定信。生真面目で文芸オタクで、なんかかわいく見えてくる。いいなー。
最終回、稲荷の化身が姿を表し蔦重にお迎えの予告をする。その時が来そうになると集まった人たちが屁おどりをする。どちらもあまり面白くないのだけれど、そこで蔦重の最期の一言。これが見事に決まる。拍子木と「へ!」の幻想になぎ倒されるかのようにエンディングタイトルに流れ込み、にぎやかに幕がおりる。
作り物の楽しさを極めた最終回。

滋賀のヒトは滋賀県愛が強い?
滋賀を舞台に成瀬あかりをいろいろな視点で描いた6つの短編。
正攻法でずれている特異なヒロイン。まっすぐすぎる行動がただただ気持よくて泣けてくる。普通はこんなに迷いなく振る舞えないもんな。尊敬する。
成瀬の人物像もすごいけど「コンビ」を組む島崎みゆきもなかなかのもの。つきあいがいい。それ以外の登場人物もとてもうまく配置されてこの世界を鮮やかに描き出す。
一つ一つ読み進めながらこういう感じねとか思うけど毎回少しずつこちらの予想は外れる。全体の構成の妙。作者の企みにシビれる。
各話どれも五つ星をつけたいところ。
夜中に「膳所から来ました」を読みながらクククと笑いをかみ殺す。こういう種類の幸せは久しくなかったような。
「レッツゴーミシガン」が一番感性にぴったりくる。心の動きを繊細に描きつつもおかしかったり甘酸っぱかったりするのが最高。
文庫版では本編の後に「大津ときめき紀行 ぜぜさんぽ」というエッセイが入る。ひねりが効いていてもうダメ押し。聖地巡礼なんてちょっとバカにしていたけど「膳所に行ってみる?」と、一瞬ゆらりとしたり…。

すべてに過剰、北香那のコメディエンヌの才能が爆発。女同士の友情にバレエとラーメンをからめて大胆と繊細が入り混じって楽しすぎる。
次々に襲いかかるトラブルに全然めげないヒロイン(その原因の半分は自分のせいだとしても)、うらやましいくらいにいつも前向き。どっちを向いているかわからないくらい前向き。うーん、すごい。笑うしかない。
話の中のいくつかのエピソードが中途半端なまま終わったような気がする。そのこともあってもっともっと見ていたいと切に望む。


世界文化社「脳トレ・介護予防に役立つ まちがいさがし 日本の昔ばなし編」。
いろいろなまちがいさがしの絵を描いてきたけど日本の昔話みたいなキャラの立ったものだと作る方も見る方も楽しさが増す。
おなじみのお話とはいえ描くにあたってかなり調べまくることになる。知ってるようで知らない「一寸法師」もそんな話なのかと新鮮だったりする。
「ふだん日本の伝統とかあまり考えないもんな…。 そんなんじゃダメでしょ」と、ワタシの中のDNAがぶつぶつ言っている。
今回も勉強になりました。めでたしめでたし。


Z会「ぺあぜっと」年中 2がつ。
さかさまことばがいっぱいの街はさりげなくおかしな世界。木の上で不敵な微笑みとともに悪さをする猿にチェシャ猫を連想する。We are all mad here…「不思議の国のアリス」。
別の見開きページは鏡だらけで、合わせ技でどう見ても「鏡の国のアリス」。
ルイス・キャロルの世界に迷い込んだんだなとひとり妄想する。

ハンバーガーショップを舞台にした青春群像のように始まっていきなり妙な事件が起こり…。
どういう話かわからないまま不思議な演出でドラマは進む。「オッドタクシー」の此元和津也だから裏切らないだろうという信用で見続ける。けっこうダークなシーンも出てきて必ずしも好みじゃなかったりする。でも山田杏奈のチャーミングさと相殺するのでOK。
ラスト2話くらいで明らかになる真実に驚嘆する。「真実」というより周到に張り巡らされた伏線に。
ぼーっと見ていて見逃していた部分も多く、ネット上の考察サイトを見てあらためて作者の企みを知る。作る側も考察する側もなんでそこまでやるかと、そちらの方が驚きの連続。
登場人物それぞれが鳥になぞらえられる。11話の里見奈々(影山優佳)、カラフトフクロウとシンクロするような場面の演出がよかったなー。本筋とはあまり関係ないんだけど静かなホラーのような空気が印象に残る。
あとはなんと言っても久太郎(アフロ)。情感たっぷり、裏の主人公。
ひとりずつあげていくと全員に言及してしまいそう。もう一回初めから見返してもいいかな。