
たまたま出来た美しい青磁の壺がいろいろな人の手に渡る。
定年退職した会社員に始まって、お花好きの重役夫人やら、おばあさんやら、ドロボーやら。青い壺は神出鬼没な千両役者。どこで出てくるかと興味津々。
どこにでもありそうな話を13つなげてこんなに面白い1冊を作り上げる才能に万歳三唱する。親しみやすい語り口と豊かなバリエーションに退屈する暇がない。
一番長い第九話に力が入る。その終わり近くに出てくる衝撃の一言に打ちのめされる。おかしくて。
有吉佐和子はエンターテインメントの天才だな。
ラストは美について考えさせられてちょっとしんみりする。わが身を振り返りながら締めの一文に深くうなずく。ジャンルは違うけれど腕のいい職人でいるというのはそういうことなんだと。