2011年5月17日
「没後150年 歌川国芳展」を見る
大量に展示された作品の中では「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」がやっぱりいい。横長画面いっぱいに描かれた怪物のような鰐鮫の迫力。鱗ひとつひとつにはかわいい(?)うずまき模様。グラフィック感覚の新しさに微笑みながら感嘆する。
猫好き浮世絵師の猫の絵がたくさん見られたのも収穫。「其まま地口 猫飼好五十三疋」はそっち方面の代表作で,地口で遊びまくった楽しい作品。「草津-こたつ」の猫のポーズ,昔飼ってたうちの猫とおんなじだと,懐かしく思い出す。
他に,題名は忘れたけれど,鰹節を口にくわえた猫がおこられている絵もあって,その猫の表情が情けなくておかしい。
……。
人の流れに逆らわず1点1点ていねいに見ているといいこともある。目の前にワークキャップをかぶった女の子がいて,やわらかい雰囲気がのほほんとした猫みたいだったので,そちらも思いっきり鑑賞してしまったような…。後ろで髪をまとめて両サイドは耳の前にはらりと髪をたらすそのスタイルが必殺技。国芳もいいけどこういうのもいいなー,インスパイアーされるなーと,めでたさ満開。
しばらくすると,ワタシの後ろで足下に紙が1枚落ちたような気配がする。何だろうと思うと「落としましたよ」とその女の子に声をかけられる。その手にチラシを持っているけれどワタシのではない。
まわり数メートルにはたまたま人がいなくて,風もないのにどこから降ってわいたのか。片思いのヒトの近くでわざとハンカチ落として振り向かせるという古典的テクニックみたいな状況になってる。
ワタシが○十年若ければと一瞬思っても罰は当たらない…っていうか,さっきまで横にいたうちの奥様がここに来てなぜか行方不明。何なんだ,これは。
とはいうものの…もちろん何も起こらない。あとでうちの奥様に完全に馬鹿にされたのはいうまでもない。
しかし,考えれば考えるほど不思議な出来事ではある。国芳の妄想にやられた…?
猫好き浮世絵師の猫の絵がたくさん見られたのも収穫。「其まま地口 猫飼好五十三疋」はそっち方面の代表作で,地口で遊びまくった楽しい作品。「草津-こたつ」の猫のポーズ,昔飼ってたうちの猫とおんなじだと,懐かしく思い出す。
他に,題名は忘れたけれど,鰹節を口にくわえた猫がおこられている絵もあって,その猫の表情が情けなくておかしい。
……。
人の流れに逆らわず1点1点ていねいに見ているといいこともある。目の前にワークキャップをかぶった女の子がいて,やわらかい雰囲気がのほほんとした猫みたいだったので,そちらも思いっきり鑑賞してしまったような…。後ろで髪をまとめて両サイドは耳の前にはらりと髪をたらすそのスタイルが必殺技。国芳もいいけどこういうのもいいなー,インスパイアーされるなーと,めでたさ満開。
しばらくすると,ワタシの後ろで足下に紙が1枚落ちたような気配がする。何だろうと思うと「落としましたよ」とその女の子に声をかけられる。その手にチラシを持っているけれどワタシのではない。
まわり数メートルにはたまたま人がいなくて,風もないのにどこから降ってわいたのか。片思いのヒトの近くでわざとハンカチ落として振り向かせるという古典的テクニックみたいな状況になってる。
ワタシが○十年若ければと一瞬思っても罰は当たらない…っていうか,さっきまで横にいたうちの奥様がここに来てなぜか行方不明。何なんだ,これは。
とはいうものの…もちろん何も起こらない。あとでうちの奥様に完全に馬鹿にされたのはいうまでもない。
しかし,考えれば考えるほど不思議な出来事ではある。国芳の妄想にやられた…?
2011年5月9日
伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」を読む
絵空事の快感。
首相暗殺にまきこまれた男の物語がケネディ暗殺とダブらせながら描かれる。通奏低音のように流れるのはビートルズの「Golden Slumbers」。ポール・マッカートニーの名前がこんなに出てくるミステリも珍しい。
何人かの人物の視点と時間を自由にあやつり,あちこちにばらまかれた伏線が次々に収束する様が圧巻で,エピローグにあたる部分では,フィニッシュの決め方のうまさに,もうほとんど「ポップな号泣」。
小説を読んでこれほど幸せな時間をすごしたのは何年ぶりか。
軽いし,現実離れしているんだけれど,そういう世界にしかない感動というものもある。登場人物の口癖を借りて「伊坂,おまえはロックだよ」と言わずにいられない。
首相暗殺にまきこまれた男の物語がケネディ暗殺とダブらせながら描かれる。通奏低音のように流れるのはビートルズの「Golden Slumbers」。ポール・マッカートニーの名前がこんなに出てくるミステリも珍しい。
何人かの人物の視点と時間を自由にあやつり,あちこちにばらまかれた伏線が次々に収束する様が圧巻で,エピローグにあたる部分では,フィニッシュの決め方のうまさに,もうほとんど「ポップな号泣」。
小説を読んでこれほど幸せな時間をすごしたのは何年ぶりか。
軽いし,現実離れしているんだけれど,そういう世界にしかない感動というものもある。登場人物の口癖を借りて「伊坂,おまえはロックだよ」と言わずにいられない。
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