2007年6月30日

新聞で假屋崎省吾のインタビュー記事を読む

華道家は「この世界で,猫ほど美しいものってないんじゃないかしら」と語る。

同じことを感じている人がいるんだなと,昔飼っていた黒猫のことを思い出す。抱き上げる度に,何て美しい生き物なんだろうと,ため息をつかんばかりにながめた。

最近,仕事で化け猫の絵を描く機会があったけれど,町人を襲う妖怪でも猫は猫,心のどこかでかわいいなーと思いながら線を引いたりする。

假屋崎省吾はさらにその上を行く。ひとしきり「親バカ」ぶりを語った後の締めくくりの言葉は,「化け猫になってもいいから長生きしてほしいと思いますね」。

2007年6月22日

西澤保彦「七回死んだ男」を読む

こういう変な小説を探していた。

時のらせんにはまりこみ一日を九回くり返す不思議な体質を持つ高校生久太郎。たまたまその日に祖父殺しに直面して話がややこしくなる。何とかしてそれを防ごうとするが何度やり直しても事件は起こり…。

SF的な設定をうまく生かしながらきちんと本格ミステリしている。事件の容疑者の行動の描き方が反復ギャグになっているあたり,ツボを押えていてうれしい。

2007年6月9日

ポール・マッカートニー「Memory Almost Full」を聞く

2年前の静かな前作とは正反対のベクトル。見事に裏をかかれる。

ベースをびんびん弾きまくり,あちこちでシャウトしまくり,自由自在に楽しんで作っているのが伝わってくる快作。

新しい音が断片的に出てくる一方,70年代から90年代のポールの音楽の集大成にもなっているおもしろいアルバム。カラフルなコーラスワークが良い。

4曲目「Only Mama Knows」,久しぶりにロックするポールに,ミーハーの女の子(おばさん?)みたいに「キャー,カックイー!」と叫んでしまいそう。サビの後半,♪I never knew...の後同時に鳴るギターとベースの音にしびれる。

8曲目「Vintage Clothes」のギターのカッティングにアタマのネジが飛ぶ。

12曲目「The End of the End」は死ぬ日のことを歌う美しいバラード。去年から続く離婚騒動でポールもいろいろ思うところあるんだろうなーとしんみりする。でも,アルバムのエンディングはそれではなく…。

ラスト13曲目「Nod Your Head」。過激なアレンジをバックに,こわれかけたボーカルで♪If you really love me baby/Nod your head...とガナる。元気すぎる。しんみりして損した。何歳になっても変わらない天然いちびりポールに脱帽。

日本盤ではこの後にボーナストラック「Why So Blue」がつく。日本人好みのセンチメンタルなバラード。でも,これって,ポールの「なんちゃって」の後にレコード会社が重ねて「なんちゃって」をやってるみたいな…。わけわからないことになってる。いいのか…。

2007年6月6日

数字を見る

70000万円…取引先からのメールにイラスト・デザイン料の提示でそう書いてあったので,7億あれば左うちわで暮らせるなーと,手の届かない夢にむなしく笑う。

去年は別の取引先のメールが10,000円×7点=700,000円と告げて大いに悩ませてくれたし,おとどしには3.3333円という不思議な記述もあった(3万? 3千? もしかして3円33銭…?)。

おおらかになりつつある日本人…と,好意的に解釈しておく。