中町信というミステリ作家は名前だけ知っていたものの読むのはこれが初めて。
ちょっと前に新聞でこの作品が紹介されていて,見事な背負い投げを食わされるのを期待したのだけれど…。
アイデアは悪くない。ただプレゼンテーションがへたというか,ここというところでうまくキメてくれないために,限りなくビミョーな仕上がりになっている。
'72年に発表されて以来,版を変える度に題名が変わり(「新人賞殺人事件」他)あちこち作者が手を入れた作品。これは'04年の最終版。
それでも決定版には到達できなかったということか…。
第四部の扉には読者への挑戦もはさまれて,そういう遊びの楽しさは好ましい。昭和っぽい雰囲気や庶民的な登場人物は作者の持ち味?
評価しようとすると,なんとも言いようのないもどかしさ。でも,もうちょっと読んでみようと思ったりもするので,案外気に入ったのかも。