'55年、チャールズ・ロートン監督。
白黒で撮られたストレートなサスペンス劇と見せかけて…。
映像が幻想的かつ異様。
伝道師に扮する殺人鬼(ロバート・ミッチャム)の両手の指に彫られた「H-A-T-E」と「L-O-V-E」の文字。
子どもたちが歌う首吊りの歌。
水底で水草といっしょに揺らめく死体の悪夢的な美しさ。
夜に子どもたちがボートで逃げるシーンに出てくる小動物の撮り方。
馬に乗って悠然と進む殺人鬼のシルエット。
後半、たくましい老婦人(リリアン・ギッシュ)が登場するとちょっと雰囲気が変わる。普通っぽくなる。
それでも善と悪のデュエット(?)みたいな奇妙な場面はあるし、ラスト近くでは群衆が唐突に暴走するし…。
全体に力の入れ方のバランスが変なのか? そのためにどこにもないような作品に仕上がったような。そういうヘンな感覚、好きです。