2025/11/22

一穂ミチ「ツミデミック」を読む

罪とパンデミック。コロナ下で罪と関わってしまう人たちの話が六つ。

何気ない日常描写で始まって次第に道を外れ、最後にくわっと驚きの非日常が顔を出す。背筋が凍ったり、涙を流さんばかりになったり、その振り幅が楽しい。

文章は軽快。お話作りのテクニックが走りすぎるくらいだけれど、それも含めてこの作者の良さなのかと。

6編中では「祝福の歌」がベスト。不穏な空気が広がってどうなるかと思ったら、こういう形で幕を引くかと涙する。

「燐光」のツイストを効かせまくった感じもおもしろいけど。

ラストの「さざなみドライブ」がまた大荒れ。なんとか収束するものの小さな棘は残る。それでも安心して本を閉じられる幸せ。いつの間にか作者にねじ伏せられ納得している?