2010年7月19日

「耳をすませば」を見る

'95年のジブリ映画。

いろいろな意味でつっこみどころ満載。傑作かどうかはおいといて,良い作品なのには違いない。

主人公の月島雫が電車の中で出会った太った猫をおいかける一連の場面がいい。それがある種の別世界への入り口になる。猫について説明せず早いテンポの画面で話をどんどん進めるのが手練の技。

古道具屋というものはいつだって時代を超越した存在なのかもしれないけれど…。古い猫の人形は男爵,古色蒼然の二乗…二昔前の少女の夢みたいな世界。ここまで徹底すれば立派。

バイオリンと「カントリー・ロード」だけでもなぜなんだと,「?」マークの嵐なのに,即興演奏会に発展すると,感動と爆笑の入りまじったような不思議な感情に襲われる。こんなの初めて…っていうか,80年代の大林宣彦にあったみたいな気もする。こそばゆく心地よい困惑(好きか嫌いかどっちなんだ?)。

主人公そのものにはあまりひかれるところがなくて,始めから最後までずっと気になるのが背景画。ワタシにとっては背景画がメインのような作品。偏執狂的な細部の描き方にほとんどあきれる。団地や学校の建物の汚れ方だったり,カップの中の紅茶の揺れ方だったり…なんでここまでやる,ここまでしないとこの世界は成立しないのか…?

生活感を前面に押し出したリアルな描写に辟易しつつ,見終わった後も「カントリー・ロード」のメロディーとともにくり返し思い出さずにいられない「困ったちゃん」映画。