2012年2月12日

「かもめ食堂」を見る

'06年,荻上直子監督。

フィンランドで日本食堂を営むサチエ(小林聡美)の物語。澄んでいてぴんと背筋の伸びた感じの空気と登場人物たちのゆるさがちょうどいいバランス。折り目正しくゆるんでる。

好きな場面はたくさんあって,たとえば,まだ若くてきれいな小林聡美がプールで泳ぐシーンに流れるのは「白いカーネーション」。井上陽水の初期の地味な作品を持ち出すセンスが渋すぎ。っていうか,何でそこで「白いカーネーション」?

食堂で出てくる食べ物がどれもさりげなくおいしそうに撮られているのに感心。シナモンロールが出来上がるところとか,カツに包丁を入れるところとかは特に好き。

どうでもいいことがとっても大切。

刺激的な出来事は起こらず,ツッコミどころ満載ののんびりした描写で最後まで行く。それがおもしろい。幸せ。かもめ食堂に行って主人公に「いらっしゃい」と言われたい。

エンディングテーマは井上陽水「クレイジーラブ」。どこがクレイジーラブなんだと思うけど,ワタシなどにはわからない深い意味が秘められているのかも…。