中学生の女の子の目で語られる日常はありふれていて、ところどころ奇妙。両親がカルトにハマっている様子はどう見てもヤバいのだけれど、主人公とその周辺は淡々としたもの。両親が親戚から排除されても動じない。ほんわかしていたりしてこれはこれで幸せな人生かと錯覚しそうになる。
さらさらした文章が読みやすい。
読み進むにつれてカルトっぽい怖い部分も見え隠れする。でも主人公が中学生だから単なる噂話で片付けられ、深入りすることがない。ものすごく怖いのに、どことなく笑えるような…。
ラスト近く、美しくも不安定な雰囲気の描写が来る。外から見ると不安だらけでも中にいると居心地いい空間なのだろうなとは想像しつつも、「うーん、どうするの、キミたち?」と、本を閉じた後も落ち着かない。