短編3つ。
表題作「あひる」。
家で飼われることになったあひるをめぐって起こる日常の小さな出来事はどことなく悲しくて怖い。近所の子供たちでにぎやかになる描写や「人がいる」という一言、何でもないことなのに不思議に怖い。見えないところで息をひそめるホントのところの描き方がおもしろい。こういう感じの小説って、他にあったかなー…。
「おばあちゃんの家」「森の兄妹」。
対になっている。モチーフは違うけど「あひる」と同じような空気。2つの話のからめ方が絶妙。慈しむように描かれた幻想的なたたずまいが最後に冷めた現実で遮断されるところ、さらりとした締め方で深い余韻を残すのもよいかと。