「なんにも考えんとテキトーにホワイトボード用のマーカーで落書きしてたらちょっとおもしろい絵が描けたわ」
「なんにも考えへん方がええんちゃう? もともと頭ん中からっぽやねんから。…そや、仕事の絵もそれでいったらええねん」
「ええー、それはムリやなー。鬼のクライアントが…」
「仕事の絵描いてる時のあんたの方が鬼みたいな顔してるわ。もっと気楽にしたら? 気楽にしてたら天国でも極楽でも好きなとこ行けるで」
「そうかー。そやな、お気楽極楽て言うしな。っちゅうか、天国はまだ行きたないわ」
「毎日天国みたいな環境で仕事してて何言うてんねん。誰のおかげでそんなんできてるかわかってんのんか。私なんか雨の日も風の日もあちこちくるくる回ってどんだけしんどいか」
「ぼくもくるくる回ってるし」
「いーや。あんたは頭ん中で『今田美桜はかわいいな、上坂樹里もいいなー』て回ってるだけや。99.99%それやろ」
「なんでそんな見てきたようなことを。24時間監視してんのんか」
「100%するっとまるっとお見通しや」
「ううう…最近は宮本茉由もおもしろいんよ…」
「もうええわ」