2年前の静かな前作とは正反対のベクトル。見事に裏をかかれる。
ベースをびんびん弾きまくり,あちこちでシャウトしまくり,自由自在に楽しんで作っているのが伝わってくる快作。
新しい音が断片的に出てくる一方,70年代から90年代のポールの音楽の集大成にもなっているおもしろいアルバム。カラフルなコーラスワークが良い。
4曲目「Only Mama Knows」,久しぶりにロックするポールに,ミーハーの女の子(おばさん?)みたいに「キャー,カックイー!」と叫んでしまいそう。サビの後半,♪I never knew...の後同時に鳴るギターとベースの音にしびれる。
8曲目「Vintage Clothes」のギターのカッティングにアタマのネジが飛ぶ。
12曲目「The End of the End」は死ぬ日のことを歌う美しいバラード。去年から続く離婚騒動でポールもいろいろ思うところあるんだろうなーとしんみりする。でも,アルバムのエンディングはそれではなく…。
ラスト13曲目「Nod Your Head」。過激なアレンジをバックに,こわれかけたボーカルで♪If you really love me baby/Nod your head...とガナる。元気すぎる。しんみりして損した。何歳になっても変わらない天然いちびりポールに脱帽。
日本盤ではこの後にボーナストラック「Why So Blue」がつく。日本人好みのセンチメンタルなバラード。でも,これって,ポールの「なんちゃって」の後にレコード会社が重ねて「なんちゃって」をやってるみたいな…。わけわからないことになってる。いいのか…。