2008年12月19日

ザ・ファイアーマン「Electric Arguments」を聞く

ポール・マッカートニーとユースのプロジェクト,ザ・ファイアーマンの新作。何も決めずスタジオに入り,1日で1曲を完成させるという方法で作っていったという。

ハードなナンバー,アコースティック中心の小品,無国籍不思議ちゃん(アンビエント? 前衛?)…いろいろあって,ほんと気の向くまま作っている。

普通にポールらしいのは3曲目「Sing The Changes」。軽快なポップチューン。PVでは,流れるように次々に変る景色をバックにポールがフリ付きで歌っているのだけれど,これがアマチュア劇団員みたいな動きなので見る人の微苦笑を誘う。サービス精神がオーバーアクションになって現れるところは昔から全然変っていない。そういうところがちょっとトホホ,ちょっと好き。

5曲目「Highway」。ストーンズばりのストレートなロック。荒れた感じのボーカルに,サビでがんがんリズムを刻むピアノが加わると,魅惑の音になる。

8曲目「Dance 'Til We're High」。懐かしい響きがするのはなぜ? ずっと同じコードが続いたあと,ひとつ音が下がる個所,ある種の快感成分が体中にしみわたる。

全体を通して聞くと辛口寄りで,気まぐれシェフの日替わりランチの趣。あいかわらずやってくれるなと,今も新しい作品に出会えることがうれしい。ポールのソロ名義で発表してもよさそうな出来だけれど,師匠には師匠の考えがあるのだろう(何も考えていない可能性もあるが…)。