'04年,スティーヴン・ホプキンス監督。
ピーター・セラーズの半生を凝った手法で描く。あの笑いの陰に狂気をはらんだ演技を見ていると,実人生ではこんな感じだったかもしれないなとうなずける。
何にでもなれるものの空っぽの役者…実際にピーター・セラーズがそんな風に悩んでいたのかどうか。いろいろな人物に扮するのを見るのがファンにとっては快楽なんだけど。
原題は「The Life and Death of Peter Sellers」,邦題と落差がある。「人生は喜劇だ」と言ってしまうとあまりにお気楽に響いてこの映画の重いトーンと違っているような気もするが,「喜劇だけが人生だった」と言い換えてみると案外当っているかも。
数々の出演作の名場面を主演のジェフリー・ラッシュで再現していて,ピーター・セラーズファンには懐かしく楽しい。それが本物ほど軽やかでないにしても,もっとたくさん見たいなと思う。
二番めの妻を演じるシャーリーズ・セロンがかわいい,きれい,セクシー,キュート。よく考えると彼女も変幻自在のヒト…この映画にぴったり合ってる。
悲しくて楽しい作品。