去年秋NHKで放送されたドラマ(年末に再放送)。
妻と娘のために福袋の行列に徹夜で並ぶさえない中年男,宝福喜朗(國村隼)。そこに誘拐事件がからんで話がどんどんおかしくなる。
出て来る多彩な人物がすべて何か秘密を持っているかに見える。行列の人々,それと関係ない人々…何もかも巻き込みつつ,とんでもないリンクの連鎖反応ですごいことになっている。なのに本人たちは何が起きているか知らない。その状況を監視する警察の大河原管理官(渡辺いっけい)が,何でもない出来事をいちいちねじ曲げて解釈,それが混乱のおもしろさに拍車をかける。
こういう話が好き。もしかして,今までに見たドラマの中で一番好きかも。笑いのツボをつく場面のつるべうち。始めから終りまでただおかしくて楽しくて,後半になると見終わるのが惜しくてしかたがなかった。
「間接キスだね」という沙也加(平愛梨)の台詞に,「ぐふ,ぐふ…」と怪しい笑いをかみ殺したのはワタシだけではないはず。何て罪作りでキュートでまっすぐでかわいい…宝福喜朗でなくても夢中になるのは世の必然。参ったなー(そんなところにばかり注目していたわけではない)。
よく出来た脚本に加えて映像センスがシャープでドラマ全体がきりりとした仕上がりになっている。10年に一度の収穫。