2010年9月28日

羽海野チカ「ハチミツとクローバー」を読む

本編10巻に加えてVol.0「Official fan book」までしっかり読む。そんなに熱狂的なファンではないんだけど。

かなり行き当たりばったりの話だと思いながらずっと読んできたのが,最後の方で強引な展開でびしっと決めたりするのが意外だったりする。やっぱりこの話ははぐがメインでなくては。

とは言いつつも話そのものにそれほど入れ込んでいるわけではなく,ワタシはひたすら美しい女の人の絵に見とれ続けた。壊れたギャグからはかなげな女の子まで,振れ幅の大きいはぐとあゆの造形。むちゃくちゃなのに信じられないくらいいつもきれいにかわいく描かれているのが作者の絵師としての腕。

口を描いた線の真ん中あたりがたいていとぎれているのが不思議で,これは何の魔法かと気になってしょうがない。

それともうひとつ,ギャグを絵にするセンスが好みに合うというのがある。

第6巻番外編,美人上司美和子さんの山崎への「変な服」攻撃。たわいない話だけれどお気に入り。

動物もいろいろ出てきてどれもおかしい。中でもワタシのツボは,あゆを守るユニコーン軍団。こんなにがらの悪いユニコーンは空前絶後。よくも品を落とさず(?)笑わせてくれたなと感謝するのみ。

タイトルの「ハチミツとクローバー」について,第9巻のあとがきで作者がスピッツとスガシカオのアルバムから取ったと書いているので,ああそうか大して意味はないのかと油断する。そこに第10巻ラストのアレが来るものだから…。もう特大の不意打ち。

いや,確かに意味はないとも言えるんだけど,タイミングゆえにそのページの「ありったけの ありったけの 幸せを あなたに」などというベタな言葉に夢見心地。そのすぐあとの「必死で 何かを 探しつづけてた ボクの 大好きな 女の子」にとどめを刺されて涙。

羽海野チカの剛腕テクニシャンぶりにねじふせられ「これは傑作だ!」と叫ばずにいられない。