2009年7月12日

「花とアリス」を見る

'04年,岩井俊二監督。

少女二人ののんびりした日常会話で始まる。さりげなくバックの駅名が昭和漫画ネタになっていたりするあたりから少しずつ作り物のもう一つの現実世界へ迷い込むことになる。

花(鈴木杏)があこがれの男の子(郭智博)をだまして記憶喪失だと思い込ませ,無理につきあうという無茶な話。親友のアリス(蒼井優)がそれに巻き込まれて…。

あちこちにちりばめられた脱力系の笑いがツボをつく。「ナメクジ」の個所はかなり好き。

撮影,特に光の使い方が美しい。耽美主義的な画面が少女たちの世界(必ずしも楽しいことばかりではないと描かれる)とうまく溶け合って,岩井俊二のこの系統の作品にはやられっぱなし。

アリスが男の子とデートした時,スイーツを食べる前に見せる演技したスマイルが最高で,こんな風にだまされるのもいいかなと思ってしまう,ばかなワタシ。

映像美という点では花の泣き顔の大写しの場面だけど,アリスの長いバレエシーンは意味もわからず泣ける感じ。見ることの快感をつきつめている。

見終わってからうちの奥様が「ロリコンのおじさんが好きそうな…」と,みもふたもないことを言う。そういう次元の話じゃないだろうと思いつつも,全否定できない部分もあり,ちょっとつらい…(?)。