2009年7月27日

綿矢りさ「夢を与える」を読む

国民的アイドル夕子の栄光と転落。文章はどことなくざらついて,その一方淡々として冷徹とさえ感じられる描き方。ヒロインと作者を重ね合わせて見てしまうために,ありきたりのストーリーがとんでもないエネルギーを産むのがおもしろい。

いや,それとも,作者名とは関係なく本当にすごい小説なのか…判断がつかない。

タイトルにもなっている「夢を与える」というテーマは文章の中に何回か出てきて,確かにその部分はわかりやすいんだけれど,それ以外のつかめそうでつかめない何かがいつまでも気になったりする。

救いがないように見えるラストもなぜか嫌いではない。

古風なアイドル然とした作者が心の奥に秘めた狂気を豪腕で放った場外ホームラン(ファウルかも)だとも感じられ,図らずも二重三重にサプライズがしかけられた格好。ワタシはとても楽しめました。