2019年12月29日
カードをデザインする
祖父が創業して今はいとこが社長をやっている小さな商事会社。その創業80周年記念のクオカード。
社長の座右の銘という「不易流行 」を念頭に置きつつ、個人的な好みでレトロモダンみたいな雰囲気でまとめる。
砂粒を集めてかためて巨大な岩にしてそこに苔がいっぱいはえるくらい長く栄えますように…と、祈る。
2019年12月15日
今村夏子「あひる」を読む
短編3つ。
表題作「あひる」。
家で飼われることになったあひるをめぐって起こる日常の小さな出来事はどことなく悲しくて怖い。近所の子供たちでにぎやかになる描写や「人がいる」という一言、何でもないことなのに不思議に怖い。見えないところで息をひそめるホントのところの描き方がおもしろい。こういう感じの小説って、他にあったかなー…。
「おばあちゃんの家」「森の兄妹」。
対になっている。モチーフは違うけど「あひる」と同じような空気。2つの話のからめ方が絶妙。慈しむように描かれた幻想的なたたずまいが最後に冷めた現実で遮断されるところ、さらりとした締め方で深い余韻を残すのもよいかと。
表題作「あひる」。
家で飼われることになったあひるをめぐって起こる日常の小さな出来事はどことなく悲しくて怖い。近所の子供たちでにぎやかになる描写や「人がいる」という一言、何でもないことなのに不思議に怖い。見えないところで息をひそめるホントのところの描き方がおもしろい。こういう感じの小説って、他にあったかなー…。
「おばあちゃんの家」「森の兄妹」。
対になっている。モチーフは違うけど「あひる」と同じような空気。2つの話のからめ方が絶妙。慈しむように描かれた幻想的なたたずまいが最後に冷めた現実で遮断されるところ、さらりとした締め方で深い余韻を残すのもよいかと。
2019年12月8日
今村夏子「星の子」を読む
中学生の女の子の目で語られる日常はありふれていて、ところどころ奇妙。両親がカルトにハマっている様子はどう見てもヤバいのだけれど、主人公とその周辺は淡々としたもの。両親が親戚から排除されても動じない。ほんわかしていたりしてこれはこれで幸せな人生かと錯覚しそうになる。
さらさらした文章が読みやすい。
読み進むにつれてカルトっぽい怖い部分も見え隠れする。でも主人公が中学生だから単なる噂話で片付けられ、深入りすることがない。ものすごく怖いのに、どことなく笑えるような…。
ラスト近く、美しくも不安定な雰囲気の描写が来る。外から見ると不安だらけでも中にいると居心地いい空間なのだろうなとは想像しつつも、「うーん、どうするの、キミたち?」と、本を閉じた後も落ち着かない。
さらさらした文章が読みやすい。
読み進むにつれてカルトっぽい怖い部分も見え隠れする。でも主人公が中学生だから単なる噂話で片付けられ、深入りすることがない。ものすごく怖いのに、どことなく笑えるような…。
ラスト近く、美しくも不安定な雰囲気の描写が来る。外から見ると不安だらけでも中にいると居心地いい空間なのだろうなとは想像しつつも、「うーん、どうするの、キミたち?」と、本を閉じた後も落ち着かない。
2019年11月13日
ドラマ「スローな武士にしてくれ」を見る
題名がアレなので見逃していたけど再放送を録画してやっと見る。
古い時代劇制作スタッフがNHKの最新式の機械で新作を撮る…という劇中劇。話も映像のケレン味もいうことなし。時代劇に興味のないワタシでもはじめから最後まで画面に目が釘付け。こういう構成自体もともと大好きなところへ、こんなにも完璧に仕上げて見せられたものだから…。
おそろい眼鏡(?)のNHKのヒトたちの洒落の効いた感じ。おかしい。ニクい。
最後は満を持してあの曲が流れ…心の中で万歳三唱する。
去年は「平成細雪」、今年は「スローな武士にしてくれ」 、源孝志にやられっぱなし。
古い時代劇制作スタッフがNHKの最新式の機械で新作を撮る…という劇中劇。話も映像のケレン味もいうことなし。時代劇に興味のないワタシでもはじめから最後まで画面に目が釘付け。こういう構成自体もともと大好きなところへ、こんなにも完璧に仕上げて見せられたものだから…。
おそろい眼鏡(?)のNHKのヒトたちの洒落の効いた感じ。おかしい。ニクい。
最後は満を持してあの曲が流れ…心の中で万歳三唱する。
去年は「平成細雪」、今年は「スローな武士にしてくれ」 、源孝志にやられっぱなし。
2019年9月26日
東村アキコ「海月姫」を読む
第1巻で蔵之介が初めて姿を見せる場面のかっこよさにやられる。そういう「趣味」とは関係なく。
物語の狂躁と多彩なキャラクター。全編飛び道具みたいなギャグときらきらしたファッションに彩られて、体の奥がずっと熱くなりっぱなし。作者のセンスが肌に合う。
見どころ・ツッコミどころ、てんこ盛り。ヒロインの月海もバブリー稲荷女史もベンツ花森もいいけど総理大臣の軽薄きわまりないキャラが一番のお気に入りかも。
物語の狂躁と多彩なキャラクター。全編飛び道具みたいなギャグときらきらしたファッションに彩られて、体の奥がずっと熱くなりっぱなし。作者のセンスが肌に合う。
見どころ・ツッコミどころ、てんこ盛り。ヒロインの月海もバブリー稲荷女史もベンツ花森もいいけど総理大臣の軽薄きわまりないキャラが一番のお気に入りかも。
2019年9月1日
東村アキコ「東京タラレバ娘」を読む
30すぎの女子の気持ちをうまく描くなー、わかってるなー…と、感心しつつ読み進める(ワタシが言うのは変か)。読み進めるにつれてこれは大傑作だと気づき始める。
登場人物の心をばっさばっさと切りまくり、返す刀で変幻自由なギャグを炸裂させる。そのやり方があまりに見事でワタシの心の琴線は揺さぶられっぱなし。
なんていうサービス精神。作品としては軽いんだけど、それなりに真実を突いてこのおもしろさだもの、これ以上何を望む?
後ろにおまけで付く「タラレBAR」も本編と同じくらい楽しい。いろいろ笑う。
登場人物の心をばっさばっさと切りまくり、返す刀で変幻自由なギャグを炸裂させる。そのやり方があまりに見事でワタシの心の琴線は揺さぶられっぱなし。
なんていうサービス精神。作品としては軽いんだけど、それなりに真実を突いてこのおもしろさだもの、これ以上何を望む?
後ろにおまけで付く「タラレBAR」も本編と同じくらい楽しい。いろいろ笑う。
2019年8月25日
ドラマ「ピュア!」~一日アイドル署長の事件簿~ を見る
脚本が蒔田光治で「トリック」をもっとゆるゆるにした感じ。
黒薔薇純子(浜辺美波)の腹黒アイドルぶりが楽しすぎる。へっへっへーという笑いが最高。相手役の刑事(東出昌大)のちょっと意地悪で間が抜けている役どころもいいバランス。
3回だけで終わるのはもったいない。レギュラードラマ化を希望。
黒薔薇純子(浜辺美波)の腹黒アイドルぶりが楽しすぎる。へっへっへーという笑いが最高。相手役の刑事(東出昌大)のちょっと意地悪で間が抜けている役どころもいいバランス。
3回だけで終わるのはもったいない。レギュラードラマ化を希望。
2019年8月24日
GFRIENDのウナにハマる(?)
たまたま目にした一枚の写真に軽く引っかかり、あれよあれよといつのまにか底なし沼。底なしに甘い気分、底なしに幸せ。
画像や動画を検索しまくって、スマホの中にウナの画像があふれる。
ウナは天然さんっぽく見えたり、究極のプロフェッショナルに見えたり。2種類の声を操れるのもすごい。健康的なフォルムにため息。それでいて正体がつかめないところもある。解けない謎にメロメロ。
あ、そうだ、スマホの壁紙にしたらどうかな…と、アタマの中で誰かが囁いたような気がする。お気に入りの一枚をモノクロっぽく加工して壁紙にすると、画面を見る度にルンルン気分が味わえる。おー。
めでたすぎるだろうという…。
2019年7月24日
上原ひろみ「Alive」を聴く
ジャズには詳しくないのでとんちんかんな聴き方してるかもしれないけど。
低めの音で全編軽やかに駆け回るピアノの音が好き。しなやかな音にやわらかく包まれる感覚があって、それが快感でそれが不思議で何度もくり返し聴く。
ドラム(サイモン・フィリップス)の音がまた好み。こちらも低めの音が左右に広がる録音になっていてその音が体全体にしみ入るのが気持ちよすぎる。ドラムのリズムのせいかプログレッシブ・ロックを聴いているような錯覚におちいる瞬間もある。
ジャンル分けはおいといて。とにかく新鮮。
低めの音で全編軽やかに駆け回るピアノの音が好き。しなやかな音にやわらかく包まれる感覚があって、それが快感でそれが不思議で何度もくり返し聴く。
ドラム(サイモン・フィリップス)の音がまた好み。こちらも低めの音が左右に広がる録音になっていてその音が体全体にしみ入るのが気持ちよすぎる。ドラムのリズムのせいかプログレッシブ・ロックを聴いているような錯覚におちいる瞬間もある。
ジャンル分けはおいといて。とにかく新鮮。
2019年7月23日
まちがい探しの絵を描く
PHP研究所「眼科医が考案 1日3分遊ぶだけ 子どもの目がぐんぐんよくなるトレーニングゲーム」。まちがい探し3点とさがし絵1点を担当。
日頃描く「とにもかくにも見る人にわかりやすい絵」とは微妙に方向が違うけれど、こういう世界はまあなんか楽しい。タッチがさらっとしすぎていてすぐに答えがわかってしまうかなーと心配したり…。
わかりにくければいいというものでもないけど。
ものすごく単純な構造に見えるのによく観察するとその秘密が全然わからない…謎解きされるとその意外さに驚嘆する…そういうアクロバティックな創作物にワタシは憧れるものです。
なぞなぞ本の絵を描く
池田書店「親子で楽しめる!なぞなぞ&ものしりクイズ大冒険」。この本の中のステージ2部分を担当。
子ども向けのなぞなぞとばかにするなかれ。ひとつひとつ解いていくと中にはいくら考えてもわからないのがあったりする。昼寝ばかりしている(?)ぐうたらな描き手にはけっこういい刺激になったりするのであった…。
2019年7月9日
東村アキコ「かくかくしかじか」を読む
自伝マンガ。そうとう変わったデッサン教室に通い始めた女子高生が紆余曲折を経て漫画家になるまでを描く。
石膏デッサンを一度もしたことがないワタシにはそういうものかーと訳知り顔でうなずくしかないところもある。それでもものつくりの世界に生きる身としては限りない共感とともに読む。
現実にこんな人がいたら絶対ついていけないと思いつつ、作者の熱さにひたすら押しまくられねじ伏せられる。
駆け出しの頃の作者が岩館真理子風の漫画を描こうとするあたりがちょっとおかしい。 岩館真理子の描くはかなげな女性は造形的にワタシも好きだったなー…。
石膏デッサンを一度もしたことがないワタシにはそういうものかーと訳知り顔でうなずくしかないところもある。それでもものつくりの世界に生きる身としては限りない共感とともに読む。
現実にこんな人がいたら絶対ついていけないと思いつつ、作者の熱さにひたすら押しまくられねじ伏せられる。
駆け出しの頃の作者が岩館真理子風の漫画を描こうとするあたりがちょっとおかしい。 岩館真理子の描くはかなげな女性は造形的にワタシも好きだったなー…。
2019年6月23日
「カメラを止めるな!」を見る
’18年、上田慎一郎監督。
今さら付け加えることもないのだろうけど…。
見る人を面白がらせるために何だってやる、そしてそれがことごとく成功している。こういうタイプの話が好きで好きで。二重三重に仕組まれた企みとそれをやりとげた力に、笑いながら涙が出そう。
少しかわいくてセクシーなヒロイン(秋山ゆずき)の過剰な熱演とテキトーなキャラの落差、好きです(とても大切なところ)。他のメンバーもそれぞれ細かい部分まで考えられていて文句のつけようがない。唯一「ポンッ!」は出すぎか…。それくらい。
2回見て2回とも面白すぎて満足。
NHK-BSのアナザーストーリーズ「“カメラを止めるな!”~低予算×無名が生んだ奇跡~」も興味深く見るが本編の圧倒的な面白さの前には影が薄かったりする。
今さら付け加えることもないのだろうけど…。
見る人を面白がらせるために何だってやる、そしてそれがことごとく成功している。こういうタイプの話が好きで好きで。二重三重に仕組まれた企みとそれをやりとげた力に、笑いながら涙が出そう。
少しかわいくてセクシーなヒロイン(秋山ゆずき)の過剰な熱演とテキトーなキャラの落差、好きです(とても大切なところ)。他のメンバーもそれぞれ細かい部分まで考えられていて文句のつけようがない。唯一「ポンッ!」は出すぎか…。それくらい。
2回見て2回とも面白すぎて満足。
NHK-BSのアナザーストーリーズ「“カメラを止めるな!”~低予算×無名が生んだ奇跡~」も興味深く見るが本編の圧倒的な面白さの前には影が薄かったりする。
2019年2月17日
「君の名は。」を見る
2016年、新海誠監督。
今頃になってやっと見る。こういう話だったのか…。
日本のアニメには思い入れがないし、タバコや胸の扱いなど作者とは趣味が合わない。RADWIMPSもどうもね…。斜に構えつつも、お話の緻密さに驚き、2回も見てしまっている。うー。
空から降ってくる壮大な物語とアジア的センチメンタリズム。幻想的な空の美しさと最後のセリフにやられる。絵がぴったり合っているので文句のつけようがないじゃないの。
今頃になってやっと見る。こういう話だったのか…。
日本のアニメには思い入れがないし、タバコや胸の扱いなど作者とは趣味が合わない。RADWIMPSもどうもね…。斜に構えつつも、お話の緻密さに驚き、2回も見てしまっている。うー。
空から降ってくる壮大な物語とアジア的センチメンタリズム。幻想的な空の美しさと最後のセリフにやられる。絵がぴったり合っているので文句のつけようがないじゃないの。
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