2009年5月19日

ビートルズ「LOVE」を聞く

2006年に発表されたリミックス&コラージュ・アルバム。ラスベガスのショーの背景音楽として企画制作。プロデュースはサー・ジョージ・マーティンと息子ジャイルズ・マーティン。

内容が内容だけに,出た当時はあんまり触手が伸びなかった。忘れた頃にこうして聞いてみると,むちゃくちゃだけれどけっこうおもしろい。

違う曲のメロディーやハーモニーを重ねるとうるさい部分が多いけれど,ふとした拍子に新鮮で心地よい響きが顔をのぞかせる個所がある。これはたぶん切り絵と同じだなと思い当たる。普通の絵の具で色を塗るとまともなバランスでつまらなくなるところでも,何百色もの色紙をぱらぱらめくりながら色を並べる時,偶然不思議な色の組合せが出現してはっとしたりする,あの感じ。

よく知っているビートルズナンバー同士の意外な組合せで作り上げたパラレルワールドの60年代ポップス。または,ものすごくまじめな顔して言う冗談。

でも,もしこのアルバムで初めてビートルズを聞くなんていう人がいたら…。根本的に人生間違ってるというべきだけど,「その人が体験するだろう音楽世界,ちょっと変(笑)」とも想像されて何となくおかしい。