2011年3月21日

「HERO」を見る

'02年,チャン・イーモウ監督。

チャン・ツィイーはいいなーというのがワタシの最大の感想。「襲われる」場面での,何とも言えないズルそうな微笑みが,見たいような見たくないような,怖いような気持ちいいような…で,夢に出てきそうなくらい良い。もっと活躍させてほしかったけれど,それはここでは無理な相談だろうなー…。

お話はどんでん返しのためのどんでん返しのような構成で,20年前に見ていたら楽しめたかもしれない(今はちょっと…)。

色を全面的に押し出した様式美や派手なワイヤーアクションはお笑いと紙一重。ここまで徹底すればただただ見事。いいとか悪いとかを超越している。やるのならここまでやらないとだめなのだと頭をはたかれる。

大量の矢の表現について,どうでもいい私的な疑問がひとつ。昔,黒澤明の「蜘蛛巣城」の終盤で突き刺さる矢を見た時にはいたく感動したものだけど,今回の圧倒的な矢の場面では感心こそすれ,それほどの感銘を受けなかった。ワタシがスレてしまったのか,感性が鈍ったのか,それとも作品自体の出来の差なのか…。「昔は良かった」などと,年寄りの繰り言めいたことは死んでも言いたくないしと,ちょっと悩む。